魚を乾燥させて粉末状にして肥料や料理の隠し味などとしても活躍する「魚粉」。
魚にはDHA・たんぱく質・カルシウムなどの栄養が凝縮されており、人の健康にも良く、野菜や果物などの最適な動物性有機肥料としても非常に有効です。
筆者が営む小さな農園では、水産加工業者さんから廃棄する天然のアジの骨を魚粉にして栽培する野菜に肥料として与えています。
そこで今回、「釣った魚は食べる派」の皆さんにおすすめの簡単にできる魚粉肥料の作り方をご紹介します。
とはいっても、魚を乾燥させて細かく砕くだけの簡単な作業なので単純です。
釣った魚を食べて、その捌いた後の骨を堆肥化して美味しい野菜も作れるなんて・・
釣りで環境にやさしい循環型家庭菜園が可能ですが、今回、その注意点も含めてご紹介します。
①まずは・・魚を捌いた後の骨を乾燥させよう
捌いた後の魚の骨を風通しの良い場所で天日干しにします。
この時、なるべく網や平らなカゴの中に入れて晴れが続く日にカラッカラになるまで干すことをおすすめします。
もちろん、魚の骨やアラを一度、圧力鍋で加圧して水分を切ってオーブンで焼く→ミキサーで砕く・・という工程でも可能です。
(当農園では、肥料として使う魚の量が多く、天日干しにするスペースやカゴが十分にあるので、この方法で干しています。)
(魚の内臓などは干していません)
3週間後
3週間経過すると干物のように茶色く、カチカチになってきました。
尾の部分が指に刺さるほどの硬さです。
干物のような臭いが漂います。(場所は選びましょう)
後々、砕きやすいように、更に乾燥させていきます。
6週間後
魚の骨はさらに縮んで、カッチカチ。
重さも感じないくらい水分が抜けて、離れていると魚臭はほとんどしません。
そのまま骨を折ることもできるくらいに水分が抜けたら、頃合いです。
魚の大きさや種類によってその骨の硬さが変わるので、乾燥期間は触れながら確認しましょう。
それでは、持ち帰りミキサーで砕いてみましょう。
②干した魚の骨を砕きます
まず、この写真のようにそのままミキサーに入れてしまうとなかなか粉砕することが難しいため・・・
このように魚の骨を割りながら投入します。
あとは蓋を閉めて・・・・・・
スイッチオン
食欲をそそるような魚のいい香りを漂わせ、ミキサーをまわしていると
こんな感じに粉末状になり完成です。
食用ではないので、当農園では若干粗めに粉末状にします。
粉末状にしていると管理もしやすく、使いやすいので非常に便利ですが・・・
やはり気になるのは・・・
その魚臭!
しっかりと袋に入れて、魚臭が外部に漏れないように完全密封することが鉄則となります。
ご自宅で猫を飼ってる方は注意が必要でしょう。
料理の出汁やふりかけを作っても、体に良さそうな魚粉(笑)
③使うときの注意点
さいごに、完成した魚粉を畑の土づくりに使う際の注意点をご紹介します。
①小動物に掘り起こされないように深めにすき込みましょう
人には匂いが気にならなくても、鼻のいい野良犬や野良猫、その他小動物などには魚臭は気付かれます。小動物が掘り起こさないように、なるべく深くに埋めて均等に土とすき込むようにすることをおすすめします。
②米糠と混ぜて土にすき込みましょう
土の中で魚粉の分解促進のために一緒に米糠を混ぜて、均等にすき込むと微生物などの増量に役立ちます。有用な微生物が豊富な状態になると、その後の有機物をさらに投入しても作物を育てる為のいい状態が保たれます。
③同じ場所に過剰に埋めないようにしましょう
魚粉は1か所だけに集中して埋めず、ところどころ均等にすき込むようにしましょう。
埋めた直後は、土の中ですぐに分解されずしばらく残る為、1か所だけに埋めると腐敗が進み、栽培する作物にいい影響を与えません。また、小動物に見つけられやすくなる悪臭の原因になったり、場合によってはコバエなどが集まる不衛生な畑となってしまいます。
株元から離れた場所に埋めるか、株元に埋めるか、どのように施すか作物毎に調べておくと安心です。
以上、「釣った魚で家庭菜園用の肥料を作る方法と注意点」を 簡単にご紹介しましたが、釣った魚を捌いて調理し、 ご自宅で家庭菜園をされる方にとっては、少し興味のある 内容だったのではないでしょうか? 即効性がある魚粉は、元肥としても追肥としても有能な資材で、 育てる作物の果実や葉物野菜の「甘み・うま味」を 出すことにも使えたりするので、少し手間が掛かっても おすすめしたい天然資材です。 もし機会があれば、その釣った魚で 皆さんもぜひ・・お試しに魚粉肥料をつくってみてはいかがでしょうか?