川釣りや川遊びを楽しむときに、やはり気になるのが水質。
川で釣れた魚を食べるときは、その川の水質が気になりますよね。
日本は水質を浄化させる技術に優れているそうですが、浄化する以前の問題で、国内のどの河川が綺麗なのか。
今回は、国土交通省が発表したランキングに基づき、国内の河川の綺麗な16の川をご紹介します。
河川における水質の良さの判断基準
生物学や科学的な言葉になりますが、水質測定の項目には、BODやCODという様々な項目が用意されていて、全国の河川で測定されています。
BOD
生物化学的酸素要求量のこと。微生物によって有機物が分解されるときに消費される酸素の量です。
このBODの数値が高いと、悪臭が発生するそうです。
COD
化学的酸素要求量のこと。酸化剤を用いて酸素の量を換算したものを示します。
濁度
光の透過を測定する方法などを用いた濁りの度合いです。
PH
水素イオン濃度。
SS
浮遊物など。工場排水などによる有機物や金属の沈殿などです。
DO
水中に含まれる酸素の量。あまりにも低いと生物が生存できません。
以上の化学的根拠に基づき、全国の河川の水質は測定されます。
全国河川水質ランキング
ランキングと言っても採取する場所や時期などにより、河川それぞれの完璧な数値を出すのは難しいです。
今回は、国土交通省が発表した「水質が良好な河川」を北海道から順に明記していきます。
尻別川(北海道)
1999年から16年連続で日本で一番水質が綺麗な河川としてランキング1位の順位に輝いた河川。
千歳市と伊達市の市境にあるフレ岳から流れていて、日本海まで続いています。
ニセコや倶知安など、自然が豊かな地域を流れる河川で、今もなお日本で最も美しい川と言われているそうです。
道産子ニジマスなどの釣りを楽しめるほか、夏はカヌーなどを楽しめて、尻別川には遠くからも観光客が訪れます。
フライフィッシングやルアーフィッシングなども楽しめるらしく、川釣りが好きな人は一生に一度でもいいから行ってみたい川でしょう。
後志利別川(北海道)
「しりべしとしべつがわ」と読みます。
尻別川とは名前こそ似ていますが、長万部岳から流れ日本海に注ぐ川で、今金町やせたな町を流れています。
毎年発表される水質ランキングでは常連であり、綺麗な川として有名。
水域面積はさほど広くありませんが、ピリカベツ川や田代川など多くの支流があります。
以前は国鉄瀬棚線から望むことができる美しい河川でしたが、現在は廃線となりました。
それでも、国道沿いを流れていることもあり、シーズンになれば釣りなどを楽しむ観光客も多いようです。
こんなきれいな川で釣れた魚は、さぞ美味しい事でしょうね。
沙流川(北海道)
2004年には最も綺麗な川と認定された日高地方を流れる一級河川。
源流域である日勝峠付近は、1970年に沙流川源流原始林の名称で、国の天然記念物(天然保護区域)に指定されています。
それほど自然が豊かで川の水質も綺麗に守られているようです。
川幅も広くて透き通った水質は、日高地方を訪れた際は一見の価値あり。
日高沙流川オートキャンプ場などは、夏は遠くからも観光客が訪れています。
ただ、雨天が続いた時などの水量の多さから、これまでの沙流川の歴史上、氾濫や浸水などの水害が多く釣りや川遊びは特に注意した方が良いかもしれませんね。
鮭川(東北地方)
山形県の最上川から上流を流れる一級河川で、日本有数の清流として有名な川です。
鮎釣りやサクラマスなどの川魚が釣れるため、地元の釣り人は必ず釣りをしたことがある川でしょう。
名前の通り、鮭の遡上が古くから見られていたそうです。
現在も、鮭が遡上していて、48㎞と川の長さは長くはありませんが、あまりの水質の良さのため多くの人に知られています。
自然豊かな奥羽山脈から流れていて、人口も少ない地域を流れているため、生活用水や工場排水がかなり少ないです。
山形県の鮭川村は、この鮭川から名付けられているほど、地元に愛された美しい川なんですね。
荒川(東北地方)
山形県と新潟県を流れる川で、日本で一番水質が綺麗と評されたこともある川です。
川の全長は73㎞と長くはないのですが、比較的に流れが早く、水力発電所が所々に建設されています。
自然が豊富な大朝日岳を水源としていて日本海に注ぐ一級河川ですが、東京都の荒川があまりにも有名で、こちらの荒川はあまり知られていませんね。
流れが早いため、川遊びには適していないと思われますが、上流の水量が少ない方は水質が綺麗で美しい川水を堪能することができるでしょう。
もちろん、釣りもオススメで、フライフィッシングをしている人が多いようです。
玉川(東北地方)
戦時中に玉川毒水が発電所から流れてしまったために、田沢湖の多くの生物が死滅してしまったことは有名。
秋田県を流れるこの玉川には、そんな歴史がありながらも、現在の科学的な水質調査では本来の綺麗な水質を保っていることが証明されました。
絶滅危惧種のヤツメウナギが遡上する川だったことからも、本来は物凄く美しい川なのですが、玉川毒水の件によりイメージはとても悪かったそうです。
現在はイワナやマスなど生息していて、水質ランキングで高く評価されるほどの美しい川に戻っています。
玉川温泉の強酸性の水が流れる前までは、鮭もしょっちゅう遡上していたそうです。
雄物川の支流としては最長の100㎞を超える川の長さで、シーズンになるとバーベキューや釣り人で賑わう場所もあるそうです。
黒部川(北陸地方)
富山県東部を流れ、北アルプスから日本海に流れる有名な川。
黒部ダムの壮観は、全国的にも有名ですが、この黒部川は水質が綺麗な川として有名ですね。
河口からは白馬、五竜岳、立山連峰などを拝むことができ、この川が如何に自然に囲まれて綺麗な水質を生んでいるのか、一見するとすぐにわかります。
以前は水質汚濁があったそうですが、2006年に水質ランキングにランクインしてからは、綺麗な河川ランキングの常連に。
黒部ダムの水位の高低差が激しく、建設には多くの犠牲者が出たそうですが、黒部川はそういった悲しい歴史背景もありながら、美しい川として地元の方々に愛され続けています。
熊野川(近畿地方)
奈良県・和歌山県・三重県を流れる一級河川。
熊野本宮大社と熊野速玉大社の間の流域は、世界遺産に登録されているほど美しいです。
かつては新宮川という呼称でしたが、現在は熊野川として全国的に有名な川。
下流の方ではシーバスやチヌなどが釣れるため、多くの釣り人が狙っていますが、上流の方でも鮎釣りは盛ん。
鮎は放流なども行われていて、今後も水質は良くなるように守られています。
ちなみに、鮎釣りは6月頃解禁されるそうなので、禁止の時期は狙ってはいけませんよ。
天神川(中国地方)
鳥取県を流れる河川で、2016年に初めて選ばれた一級河川です。
天神川という名前の川は、全国のいたるところに存在していますが、水質ランキングで評価されたことにより、この鳥取の天神川は有名になりました。
ともにランクインした小鴨川は、天神川の支流。
ですが、天神川は長さ32㎞と、短い川です。
倉吉平野や北条砂丘などは、天神川の沖積作用によって形成されたと考えられており、短い川でありながら周辺の地形に与えた影響は大きいですね。
天神川の漁業協同組合では、渓流釣り、鮎釣りなどが楽しめると書いてあるので、釣りにも適した美しい河川であることは間違いありません。
小鴨川(中国地方)
上記の天神川の支流である小鴨川。
一級河川ですが、上流は大山の火山噴出物で覆われており、土砂流出が多いながらも水質ランキング選ばれるほど綺麗な川です。
現在は室戸台風で市街地のほとんどが水に浸かったこともあり、河川整備がしっかりされています。
川幅も長さも比較的短い川なのですが、整備されているし水質もかなり良いため釣りには適していますね。
佐波川(中国地方)
鯖川の別名を持つ山口県を流れる一級河川。
三ヶ峰から流れ周防灘に注ぐ佐波川は、人口が比較的多い地域を流れる川でありながら、BODなどの水質を示す水準はかなり良好。
その証拠に、初夏にはゲンジボタルの姿を拝見することもできるほどで、佐波川蛍の夕べというイベントも開催されています。
アマゴ釣りは3月ごろ、鮎釣りは6月ごろに解禁されて、県内外から多くの釣り人が訪れることでも有名です。
純水で育ったアユやアマゴは絶品に違いないでしょうね。
厳木川(九州地方)
佐賀県唐津市を流れる厳木川。「きゅうらぎがわ」と読みます。
全長23㎞ほどの短い川ですが、河口付近は川幅は広く、水も綺麗です。
上流はホタルなども生息しているほど自然が豊かで、川魚ではカマツカやカワムツ、トウヨシノボリなど生息。
2015年から3年連続で水質が最も良好な河川に選ばれていて、BOD平均値0.5㎎/Lをクリアし続けています。
唐津市内で松浦川に合流するため、市街地をほとんど流れていませんが、これからも水質ランキングでは上位にランクインする河川であることに間違いないでしょう。
本庄川(九州地方)
宮崎県の大淀川の支流である一級河川。
大淀川も一級河川で、市街地を流れる川でありながら水質の良好さは割と有名ですが、本庄川はより水質は良いです。
綾北川と合流する国富町から上流の地域は綾南川と呼ばれていて、名水百選にも選ばれているほど。
本庄川が流れる綾町は、照葉樹林都市として水の郷百選にも選ばれています。
綾町は全国的にも有名な自然豊かな町ですが、そこを流れる本庄川もまた、BODやCODなどの水質調査で美しさは証明されました。
ミズキンバイなどの絶滅危惧の植生を有していて、日本の自然にとって貴重な地域の美しい川です。
球磨川(九州地方)
人吉盆地から八代海に注ぐ一級河川で、熊本県内でも最大の大きさを誇る川です。
最上川と富士川を含めて日本三大急流のひとつでもある球磨川ですが、上流の川幅の広い場所は川の流れも穏やか。
人吉市内ではインターハイのカヌー大会が開かれることもあります。
球磨川と言えば、大きくて味の良い鮎が育つことでも全国的に有名です。
日本一の大アユ釣り選手権大会も開かれています。それほど鮎が生息しているということは水質も良好であるということが分かりますね。
さらに、球磨川の近くの市房ダムでは、日本さくら名所100選に選ばれる桜の名所があります。
球磨川の上流は自然が豊かで、その豊かな自然が球磨川の水質の良さを演出しているようです。
川辺川(九州地方)
球磨川の最大の支流で熊本県を流れる一級河川です。
水質を計る際に用いられる濁度は、1.0を下回ることも多く(雨天時はさすがに濁っているようですが)、透き通った川の水が特徴。
球磨川同様の自然に囲まれた地域の川なので、水質の良さに関しては周知の通り。
川では、尺サイズのアユやヤマメなどが釣れ、他にも鯉、ウナギ、ウグイ、オイカワなど多種に及ぶ川魚が生息しています。
さすが、川辺川は12年連続で水質が最も良好な川に選ばれるだけあり、九州では綺麗な川として有名です。
五ヶ瀬川(九州地方)
熊本県の一部と宮崎県を流れる一級河川で、日向灘に流れる100㎞を超える長さを誇ります。
鮎が非常に有名で、河原の鮎梁は秋の風物詩として「日本のかおり風景100選」にも選ばれています。
さらに、日本神話の天孫降臨の舞台として有名な高千穂町はパワースポットとしても有名。
自然そのものが五ヶ瀬川を取り巻いていて、その大自然が織りなす五ヶ瀬川の水質は超良好と言えるでしょう。
天然記念物に指定されている高千穂峡は、五ヶ瀬川にかかる峡谷。
高千穂峡に行ったことのある方は、それだけで五ヶ瀬川の水質が如何に良いものか想像できると思います。
以上、日本の河川水質ランキングでした。
ランキングと言っても科学的根拠があり「水質が良好」であると公表された河川をまとめたのですが、どの河川も一度は行ってみて一日中釣りやアウトドアを楽しんでみたいですね。 |