だれもが一度は釣ってみたい海釣りにおける最高のターゲットである「マダイ(真鯛)」!
日本では、「タイ」と名のつく魚が200種類以上に棲息しています。しかし、同じタイ科に属するマダイの仲間は、チダイ・キダイ・クロダイなどの十種類程度に限られます。
今回はそんなマダイの生態から、どのような釣り方があるのか詳しく解説してみます。
真鯛の生態
水深20~200mほどの沿岸に棲息し、根周りや砂底、岩礁帯などを小さな群れで遊泳しています。
マダイは同じ場所に長期間居着く事は少ないのですが、まれに磯などに居着き、そこで大型化する個体もいます。
春から初夏にかけて、岩礁付近の浅場に産卵し、幼魚は水深50m以深で越冬したあと、浅場で活発に捕食しながら成長し、やがて深場へと移動します。
■寿命
1歳で全長約18㎝、2歳で約25㎝、4歳で約40㎝に成長、さらに成長すると全長1m体重10kg以上に達して、寿命は20年とも40年ともいわれます。
■食性
食性はエビ・カニといった甲殻類のほか、貝類やイカ類、さらにイワシやイカナゴといった小魚も好んで捕食します。
水温18℃以上では盛んに摂餌し、12℃以下ではほとんど活動を停止します。8℃以下になる海域では生活できないといわれています。
■レンジ(遊泳層)
マダイの遊泳層は、基本的に水温が安定していて餌の豊富なボトム(海底)付近ですが、春はまだ水温が冷たい為に中層まで浮いてくるケースも多いです。
大型に育つほど、魚食性が強くなる為、小魚を追って表層まで浮上してくることもあります。
捕食している主な餌
【甲殻類】
釣りの餌としても使われているサルエビやサイマキ、スジエビといったエビ類は、マダイの大好物です。他にカニ類やアミ類などの重要な餌になります。
【小魚】
大型に成長したマダイは、イワシやコウナゴ、アジといった小魚も積極的に捕食します。さらに、サンマやタチウオなどにも果敢に襲い掛かって、頑丈な歯で噛み砕きます。
【多毛類】
マダイは、イワイソメやゴカイなどの多毛類もよく捕食します。地域によっては、イソメ類を特効餌としている漁師もいます。
【イカ・タコ類】
イカやタコもマダイの好物で、実際、小型のイカはマダイ釣りの餌としても実績が高いです。
真鯛の釣り方
釣ってうれしい海水魚の筆頭ともいえるマダイは、日本の釣魚の代表する人気ターゲットなだけに、各地の海に適合した様々な釣法が考案されてきました。
主な棲息域がやや深場なので、船釣りで狙うのが一般的ではありますが、潮通しが良く、水深のある磯や堤防なら、投げ釣りやカゴ釣りで陸から狙う事も可能です。
基本的に通年釣れる魚ですが、乗っ込みシーズンである春と荒食いの秋がベストシーズンといえます。
【カゴ釣り】
堤防・磯から狙う場合、より確実に釣果を期待できるのが、カゴ釣りです。ポイントとしては、潮通しが良いことが絶対条件です。
オキアミをカゴに詰めて仕掛けをキャストし、竿をあおってコマセを拡散させましょう。ウキ下は10m前後から開始、ウキが海中に沈んだら、ひと呼吸置いてから確実にフッキングしましょう。
【投げ釣り】
基本的に夜釣りで狙う事が多く、投げ釣りの仕掛けに大型のスズキやクロダイなども食ってくる事もあります。
ポイントは潮通しが良く、深場が絡んだ堤防や磯場で、もし、マダイが掛かった場合は、猛烈なトルクで走るので、リールのドラグを活用しながらやりとりしましょう。
【シャクリ釣り】
マダイの沖釣りの中でも、最も伝統的なのがシャクリ釣りです。針とオモリが一体化したテンヤ仕掛けと、活きエビの餌を使うのが特徴です。
手バネと呼ばれる短い竿を大きく、鋭くしゃくり、エビを海中で踊らせるように動かしてマダイを誘います。リール竿を使用してリールしゃくりも人気です。
【コマセ釣り】
最も主流なオキアミを使ったコマセ釣りですが、竿をムーチングアクションの専用竿かビシ竿を使用するのが一般的です。
軽快に扱えるライトタックルも人気で、ホルダーにセットした竿が絞り込まれたときには、ほぼフッキングしているので、マダイ釣りビギナーの方も入門しやすい釣り方です。
【ジギング】
マダイは、メタルジグなどを使って釣ることもできます。
タイラバやタイカブラなどのラバージグなどは、九州で古くから使われていたカブラやインチクといった擬餌針をルアー風にアレンジしたものです。
釣り方は、ボトムまで沈めたタイカブラをゆっくりと引いてくるだけとシンプルな釣りです。
状況によっては、餌釣りのベテランよりも釣果を上げる事もある釣り方です。
【その他の釣り方】
プロの漁師たちの間で伝統的に行われてきたのが、「ビシマ釣り」という釣り方があります。使用するビシマイトは、オモリを数珠状に連結した道糸で、速い潮流の中でも軽量なカブラを自然な動きで沈めてくれるのが特徴です。
他にも、「瀬戸内海のフカセ釣り」・「長崎のウキ流し釣り」・「鹿児島のガッサイ釣り」・「伊豆半島のまきこぼし釣り」などの釣法があり、「ひとつテンヤ」や「スプーンマダイ」のように、釣り人が開拓したり、アレンジした釣り方が増えています。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
日本古来より引き継がれている伝統釣法から、長い年月を経てもなお多くのファンに支持されるマダイ釣りは、独特の奥深い釣りですよね。
マダイの生態や習性に合致した合理的な釣り方が、日本のどこかで今も研究されているかもしれません。
そんな独特なマダイ釣り、みなさんもぜひ大型を狙ってお試しください。